毎日の生活に欠かせない“睡眠”。みなさんは、満足されていますか。
弊社が睡眠に関する意識調査をしたところ、約9割の方が心身の癒やしのために睡眠時間を重要視する一方、約半数の方がご自身の睡眠時間に満足していないことがわかりました。また、眠ることが楽しみである一方、起きることの楽しみが見出せていない現状も……。
私たちは日常生活における行動に着目し、新たな視点で楽しめるコンテンツを提供してきました。ポケモンを探し歩く『Pokémon GO』、ポケモンと歯磨きを楽しむ『Pokémon Smile』。次は、毎日の睡眠を計測し、ゲームにすることで、面白いことができないか――朝起きるのが楽しみになるアプリ『Pokémon Sleep』のプロジェクトがスタートしました。
睡眠データを可視化するアプリはあるものの、睡眠を楽しむという観点のアプリはほとんどありません。どうすれば睡眠を楽しくできるのか、開発チームは試行錯誤の連続でした。ゲーム『ポケットモンスター』シリーズに登場する、ポケモンを預かってレベルを上げてくれる「育て屋さん」にインスパイアされた、ポケモンを寝かせる育て屋さんの企画、睡眠中、自分のところにやって来るポケモンの生態を翌朝動画で見られる企画など、試作は複数回にわたりました。検討を重ねた末、動画は、二度寝につながり、寝起きには向かないことがわかったため、ポケモンの寝顔を撮影して、収集する形になりました。
「睡眠計測」と「ポケモンらしさ」をアプリで融合させるために、それぞれの専門家にご協力をお願いしました。
前者については、睡眠研究の第一人者である株式会社S’UIMIN 代表取締役社長 柳沢正史さんに監修していただき、適切な睡眠時間や睡眠のリズムを保つことの重要性について伺い、より良い睡眠を取ると多くのポケモンの寝顔を集められる設計になりました。また、平日と休日で就寝・起床リズムが乱れてしまう「社会的時差ぼけ」がパフォーマンスの低下をもたらすことや、寝だめによって睡眠不足が一時的に解消されても、将来に貯めることはできないことなど、ご提供いただいたさまざまな知識を生かし、ゲームをプレイしながら「睡眠Tips」というお役立ち情報を獲得できる機能を盛り込みました。ここでご紹介したことはほんの一握りで、睡眠の世界は奥深く、多くの謎に包まれています。
後者に関しては、アニメ『ポケットモンスター』シリーズの監督である湯山邦彦さんや冨安大貴さんに、絵コンテ制作・アニメーション演出のご協力をいただいています。寝ているときの表情、呼吸やあくびといった動作、気の抜けたポージングなど、ポケモンの寝顔や睡眠生態を開発チームで検討し、それをもとに、細やかな演出が散りばめられた絵コンテを制作していただきました。ポケモンを知り尽くしたお二人による絵コンテが、それぞれの持つ愛くるしい魅力を最大限に表現したアニメーションにつながっています。さらに、こうして生まれた寝顔に一つ一つ名前を付け、くすっと笑える、愛着が生まれる要素を追加しました。8言語にローカライズする中、まだ誰も見たことのない寝顔の名前を翻訳する作業は非常に難しく、独創性や創造性が求められます。このように丁寧に付けられた名前によって、世界中の人たちが共通のポケモンの世界観を楽しめる工夫を凝らしています。
ポケモンらしさを表現する上で、音楽も重要な要素の一つです。ゲーム『ポケットモンスター』シリーズなど、これまで多くのポケモンの楽曲を手がけてこられた景山将太さんに、アプリ内の音楽とサウンドのプロデュースをご担当いただいています。アプリ開発者のこだわりのひとつに、カビゴンのいる島ごとのテーマ楽曲がありますが、朝・昼・晩と３つのパターンでアレンジを加えながら、世界観を緻密に作り上げています。
睡眠とポケモンに関わる人たちが力を注いで作った『Pokémon Sleep』。アプリ開発者は、「睡眠ファーストであることを大切にしている」と語ります。
「睡眠が朝型か夜型かによって捕まえられるポケモンを変えるなどの設計はしていません。それは、夜更かしや、睡眠時間の削減を促すことになり、規則正しい睡眠の確保につながらないからです。良い睡眠によって、より多様なポケモンが集まる仕組みにすることで、睡眠を楽しみ、良い睡眠のリズムをつかむための、お手伝いができればと考えています」
『Pokémon Sleep』を使うと、朝起きるたびに、ポケモンがどんな睡眠を取っているのか、どんな寝顔なのか、さまざまな姿に出会うことができます。もしかすると、夢の中でもポケモンに出会えるかも知れません。
