Netflixと株式会社ポケモンが共同制作した「ポケモンコンシェルジュ」は、「ポケモンファンだけでなく、Netflixでドラマや映画を楽しんでいる世界中の方々にも楽しんでもらいたい」という想いから生まれたストップモーション・アニメーションシリーズです。ストップモーションとは、人形を一コマごとに少しずつ動かしながら撮影し、それを組み合わせて動きのある映像をつくる手法のこと。制作に当たり、「どーもくん」などで知られるストップモーション制作の第一人者・ドワーフスタジオをチームに迎えました。
舞台は、ポケモンたちがリラックスして過ごす南の島のポケモンリゾート。ポケモンをおもてなしする新米コンシェルジュの主人公・ハルが、お客様となるポケモンたちと触れ合いながら成長していくストーリーです。働く主人公の物語にすることで、大人の視聴者が作品内の出来事と自分を重ね、共感しやすい作品を目指しました。
株式会社ポケモンのメンバーは、本作のストーリー開発に参加するにあたって意識したことを、次のように語ります。
「大人にも共感してもらいたい作品のため、私たちが日々体験している出来事や、状況をいつも以上に意識しました。一方で、私たちが制作しているのはポケモンの映像作品です。不思議な生きものであるポケモンがいることでどんな事が起きるか?という視点を大切にしながら、クリエーターの皆さまと一緒に作っていきました」
例えばコダックは、常に頭痛を起こしているポケモンで、頭の痛みが激しくなると自分の意思とは関係なく念力を放ってしまいます。主人公のハルは、コダックの頭痛の悩みを解決すべく奮闘します。このように、ポケモンたちの個性を活かしたストーリー展開を考えていきました。
△念力を放つコダック
「ポケモンコンシェルジュ」を構成する要素として、ドワーフスタジオによる人形づくりや装飾づくりも欠かせません。ポケモンの人形には、柔らかい、硬い、ツルツル、ふわふわなど、それぞれに合った素材を選んでいます。布の毛足の長さや素材感の確認、フォームラバーや樹脂といった異素材の検討など、ポケモンの個性をより表現できるように、何度も擦り合わせを行いました。
△さまざまな素材でつくられたポケモンたち
ポケモンたちの生き生きとした姿を引き出すために、こだわったのが目の表現。目のくぼみを無くし、ハイライトを加えることで、表情や感情が伝わる目元になりました。
△オオタチが瞬きする姿
ハルやポケモンたちを撮影するためのセットや、そこに並べられている大道具、小道具は、職人によって丁寧に作られています。例えばコンシェルジュがいる受付の柱や、衣装のテキスタイルは、新規にデザインされたもの。ポケモンの形をしたランプも、まるでガラス製であるかのように加工されています。背景やアイテムの1つ1つが、「ポケモンコンシェルジュ」の世界を彩り豊かで魅力的に構築しています。
△受付の円柱、背景美術、小物類なども、全て一つひとつ手作り
また、主題歌も作品の世界観を表現するうえで、重要なポイントでした。作品に合うアーティストをチームで議論し、竹内まりやさんへの依頼を決めました。脚本を読まれ、オファーを受けていただけることになり、作品に寄り添った「君の居場所(Have a Good Time Here)」という書き下ろし楽曲が誕生。この主題歌が、作品の大きな魅力の一つとなりました。世界中にファンがいる竹内まりやさんが主題歌を担当することによって、予告公開時には、「Mariya Takeuchi」が北米におけるXのトレンドワード入りするほどの反響でした。
「ポケモンコンシェルジュ」は、33の字幕と吹き替えに対応しています。プロジェクトのメンバーは、世界中で同時配信する上でのこだわりを、このように話します。
「登場人物の名前は主人公のハルをはじめ、アリサやタイラなど、言語ごとに名前を変えなくても、世界共通で伝わる名前を意識しました。そして、各言語の声優たちが生命を吹き込んでくれたことも相まって、世界中の方々がより身近に感じられる作品になったと思います」
細部にまでこだわった作品づくりの結果が、第51回アニー賞のテレビ/メディア部門で監督賞にもノミネートに繋がりました。
「忙しい日常を過ごされている方にこそ、主人公とポケモンのあたたかい交流を是非観ていただきたい」と、担当者は笑顔で話しています。
▼Netflixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」
https://netflix.com/pokemonconcierge