「志摩スペイン村って、パルデア地方の風景にどこか似ているよね」
そんなポケモンファンの声がきっかけとなり、三重県志摩市のテーマパーク「志摩スペイン村」に、期間限定で、「『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』ポケモン課外授業 in 志摩スペイン村」が登場しました。
志摩スペイン村は、スペインをモチーフとしたテーマパーク。定番のアトラクションだけでなく、異国情緒あふれる街並みや、本格的なスペイン料理が楽しめるスポットです。
そんな志摩スペイン村で実施された今回のイベントは、ゲーム本作の主人公がアカデミーの学生であること、そして本イベントが子どもたちの夏休み期間に行われることから、「課外授業」がコンセプトに据えられました。
プロジェクトが始まったきっかけは、志摩スペイン村の担当者からのアイデアでした。「社内でも『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の発売が発表されたころから、ゲーム内の風景が志摩スペイン村に似ている、という声があがっていたんです。志摩スペイン村が開園30周年を迎える2024年に、特別なイベントとして、園内の風景や建物を最大限に活かしながらパルデア地方の風景を再現できたら、と提案しました」
企画を考えていく中で、両社が最も大事にしたのは、「パルデア地方らしさを最優先に考えること」でした。
たとえば、今回の目玉となった志摩スペイン村の「マヨール広場」。ファンの間で「主人公が通うアカデミーにあるバトルコートのようだ」と、大きな話題になったスポットです。本来はシンボルとして中心部にフェリペ3世の銅像が立つ広場ですが、今回はあえてその銅像を装飾で覆い隠し、ポケモンの世界にある「バトルコート」らしさを再現しました。
さらに、マヨール広場ではゲーム内BGMを流し、よりポケモンの世界に没入できるような工夫もしています。実際に訪れたポケモンファンから、「本当にパルデア地方に来たみたい!」と感動の声が上がりました。
フォトスポットにも、独自のこだわりが光ります。もともとは「目立つところにポケモンを配置して記念撮影を行う」イメージで考えられていた、フォトスポット。しかしその後、検討を重ねるなかで「フォトスポットは、風景に溶け込ませたほうがリアリティや雰囲気が出やすいのではないか」というアイデアが採用されました。
ポケモンの選定は、「そのポケモンが本当にこの場所に生息していそうか」を意識しました。たとえば、ひまわりがたくさんあるスポットには、たいようポケモンのキマワリを。オリーブの木の近くには、オリーブポケモンのミニーブを。「どこに、どんなポケモンを配置するかについては、ポケモンの担当者と一緒に、園内を歩き回りながら決めていきました。『ここにはあのポケモンがいそうですよね!』と、想像力を膨らませるのはとても楽しい時間でした」と、志摩スペイン村の担当者は振り返ります。
ポケモンをいきいきと見せられるスポットは、どこか? ポケモンの担当者も、志摩スペイン村の世界観を大事にしながら配置を考えたといいます。「たとえば、寿司に似ているのでは、というファンの声もあるシャリタツは、当初和食のお店のそばに配置する案も出ていました。たしかにわかりやすい発想ですが、実際にはゲーム内でシャリタツが生息しているのは水辺です。それなら、やはり実際の生息地に合わせようということで、最終的には噴水の近くに配置しました」
大人も子どもも参加できる企画として用意されたのが、周遊型のラリーイベント「コレクレー探し」です。園内に隠れている、たからさがしポケモンのコレクレーを、「コレクレー探しブック」のヒントを頼りに探します。ゲーム内でも、パルデア地方のさまざまな場所に隠れているコレクレー。そんなコレクレー探しを現実世界でも楽しめる、と来場者からも大きな反響がありました。
レストランでも、志摩スペイン村とポケモンとの取り組みならではのオリジナルメニューが登場します。
特にユニークなのは、スペイン料理でおなじみのオリーブとチュロスを生かした「ミニーブのオリーブチュロサンデー」。オリーブとアイスの絶妙なマッチングが楽しめるメニューです。伝説のポケモンであるミライドンとコライドンのメニューは、専用技の「アクセルブレイク」と「イナズマドライブ」をイメージしたソースを使った、パエジャとタパス、デザートのセットになりました。
また、本作の重要アイテム、サンドウィッチもメニューに登場。ゲーム内では自分でオリジナルサンドイッチを作ることができ、仕上げにピックを刺す工程があります。今回ご提供するオリジナルメニューでも、最後に星形のピックをゲスト自身が刺せるようになっています。ゲームでの体験が巧みに再現されており、ポケモンファンなら思わずニヤリとしてしまう演出です。
来場されたポケモンファンの方々は、その世界観の再現度の高さに驚きの声があがりました。ポケモンのぬいぐるみを持参したり、自作したアカデミーの制服に身を包んだりと、各々の楽しみかたで今回のイベントを満喫されたようです。
「パルデア地方の世界観と、志摩スペイン村の風景がこれほどまでにマッチするとは! 私たち自身もびっくりでした」とポケモンの担当者は語ります。
ファンの声がきっかけとなって始まった今回のイベントは、志摩スペイン村の唯一無二な景観と、異なる世界を丁寧に融け合わせた、担当者たちの熱意があってこそのものでした。両社が力を合わせることで、「ポケモンの世界を、ここまでリアルに楽しめるなんて!」という驚きと感動を、多くの人に届けることができたのです。