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医療現場で子どもたちに寄り添う ポケモンの小児向けMRI検査説明用動画

医療現場で子どもたちに寄り添う ポケモンの小児向けMRI検査説明用動画 2025.06.02

医療を受ける子どもたちを、ポケモンの力でサポートしたい。そんな思いから、ポケモンはキヤノンメディカルシステムズと共同で、小児向けのMRI検査説明用動画『ポケモンといっしょにMRIけんさのようすをみてみよう!』を制作しました。 
 
以前から、小児医療の現場には大きな課題がありました。そのひとつが、子どもたちがMRI検査を怖がってしまうことです。 
 
MRI検査とは、病気や怪我などを患う子どもたちの病状を正しく把握するために必要なもの。しかし、その検査中は大きな音が鳴り響き、狭い検査機器の中で長時間じっとしている必要があります。子どもたちの中には、恐怖でなかなか検査機器に入れない子や、入ることができたとしても、じっとできずに動いてしまう子も少なくありません。そのためやむを得ず、副反応のリスクがある鎮静剤を使って、寝かせた状態で検査することもあるのだそう。 
 
鎮静剤はできるだけ使いたくない、でも使わないとMRI検査を進められない。そんな板挟みの状況が続いていました。 
 
この状況を打破しようと立ち上がったのが、MRIをはじめとした医療機器の製造・販売をおこなうキヤノンメディカルシステムズでした。医療従事者とともに、プレパレーション用の動画を制作することにしたのです。 
 
プレパレーションとは、治療や検査に臨む前に、不安感を取り除くための説明のこと。医療現場のほとんどは、独自で資料を用意し、紙芝居や模型などを使って口頭でプレパレーションをおこなっています。しかしそれだと、医療従事者たちの負担も大きい上、子どもたちにうまく内容を伝えることも難しかったといいます。 
  
キヤノンメディカルシステムズの担当者は、動画制作を始めたきっかけについてこのように振り返ります。 
 
「検査に使う製品を提供している当社だからこそ、プレパレーションの課題を解決するための支援ができないかと考えていました。特に日本はさまざまな理由で、プレパレーション動画の制作が海外よりも進んでいないんです。小児医療に携わる人たちからの熱い要望もあり、動画制作に踏み切りました」 

そのような状況の中「医療現場で貢献できることはないだろうか」とキヤノンメディカルシステムズに話を持ちかけたのが、株式会社ポケモンでした。その理由について、担当者はこう説明します。 
 
「ポケモンには『現実世界と仮想世界を両方豊かにする』といった企業理念があります。そのうちの『現実世界』を豊かにする取り組みとして、医療現場の力になれたら、と考えていました。ただ、医療分野に自分たちだけで踏み込むのは難しい。そこで、キヤノンメディカルシステムズさんにお声がけをして、動画制作で力になれないだろうかと相談したんです」 
 
そうして誕生したのが「小児MRI検査説明用動画ポケモンバージョン『ポケモンといっしょにえむ・あーる・あい(MRI)のけんさをみてみよう!』」です。

 

動画制作において一番重視したのは「嘘を付かない」ことでした。たとえば、MRI検査時の音は、大きな音量をごまかさずそのまま収録しています。また、実際の検査の様子を360度カメラでリアルに撮影し、目線は子どもの身長に合わせました。 
 
「子どもたちは、少しでも『説明動画と違うじゃないか!』と思ってしまったら、もう二度と検査を受けてくれないのだそうです。それを肝に銘じ、子どもたちが怖がりそうなポイントも、包み隠さずに説明することを心がけました」 
 
ポケモンたちは、文字やイラストで説明するシーンに登場しています。どのポケモンをどの場面に登場させるのか、表情やポーズはどうするか、丁寧に協議を重ねて決めていきました。 
 
たとえば「うごかないでね」と伝える場面では、いねむりポケモンのカビゴンや、いつも木のふりをして動かない、まねポケモンのウソッキーを選定。また、磁場を利用するMRI検査室に持ち込めないものを紹介する際は、じしゃくポケモンのコイルが登場しています。 
 
MRIの大きな音を紹介する場面では、驚いているような表情のピカチュウも。「言葉のニュアンスを、ポケモンたちの姿や表情からも伝えられるよう意識して作りました」とポケモンの担当者は説明します。 
 
ピカチュウの鳴き声が、動画の最初から最後まで聞こえてくるのも特徴です。MRI検査の音を伝えることが動画における重要な要素であるため、目だけでなく耳でもポケモンの存在を感じられるよう工夫しています。 
 
「MRI検査の本番中にも、ピカチュウがどこかで応援してくれている気がする。そういった気持ちが子どもたちの中に生まれるような動画にしたい、と制作陣に共有しました」 
 
この動画は誰でも気軽に見られるよう、YouTubeで一般公開しています。医療従事者の間で口コミが広がり、MRI検査のプレパレーションで使い始めた病院も徐々に増えていきました。実際に動画を使用した現場からは「患者さんが自宅でも繰り返し視聴できるので、以前のプレパレーションよりも検査に対する理解が深まっている」といった声も。 


また、鎮静剤なしでMRI検査ができるケースも少しずつ増えてきているなど、子どもたちの治療に対する意識の変化も見られたといいます。 

提供:久留米大学医学部脳神経外科講座 下川尚子先生

 

プレパレーションを担当する看護師からは「鎮静剤を打つと寝ているうちに検査が終わるので、子どもたちは治療に対して受け身の姿勢になってしまいがちです。しかし、鎮静剤なしで検査を受けられるようになると『自分で頑張って検査を受けるんだ!』といった前向きな意欲を持って治療に臨んでくれます。病は気からとも言いますが、体だけでなく心のケアにも役立っています」と、効果を実感するコメントが寄せられました。 
 
「ポケモンのおかげで検査ができた」と言ってくれる子どもをひとりでも多く増やしたい。私たちはこれからも、医療現場の力になれるよう、活動を続けていきます。 

 

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