2026.09.01
能登の伝承娯楽「ごいた」とポケモンの出会い

能登の漁師町で生まれた伝承娯楽伝統遊びに、新たな風を
『ポケモンごいた』は、石川県能登町宇出津(うしつ)の漁師町で生まれた伝承娯楽「ごいた」をポケモンとかけ合わせた和製ボードゲームです。
「ごいた」の歴史は江戸時代末期にまで遡ります。宇出津の漁師たちが海に出られない合間や、沖から戻ったときに駒を使って遊んだのが始まりとされ、長く能登の一部地域で親しまれてきました。
かつては、世代間の交流の中で、子どもから子どもへ遊びの楽しさやルールが受け継がれていたと言います。しかし、現代ではこうした習慣が失われつつありました。そこで、1999年には地元有志による「能登ごいた保存会」が発足。小学生を対象とした「ごいた教室」や各地での大会を通じ、次世代への継承活動を続け、現在は全国に8支部が設立されています。
そんな長い歴史を持つ伝承娯楽の完成度の高さにポケモンの担当者が着目したことがきっかけで、『ポケモンごいた』は誕生しました。
「能登の『ごいた』が遊びとしてとても丁寧に作りこまれていると聞き、実際に遊んでみたんです。自分の手駒と、場に出ている駒の情報をもとに、少ない手がかりから勝ち筋を見つけていく。チームメンバーと会話ができない中での2対2の協力バトルという面白さにとても引き込まれました」
「ごいた」のプレイ人数は4人。対面に座るプレイヤー同士がペアを組んで2対2のチームとなります。場に出た駒と同じ絵柄の駒を手札から順に出していき、8枚の持ち駒を先に出し切ったプレイヤーのチームに得点が入ります。これを繰り返し、先に150点を獲得したチームが勝利となるゲームです。
能登ごいた保存会の担当者も、100年以上愛されてきたこのゲームの魅力を次のように語ります。
「誰がどの駒を持っているのか、場で伏せられた駒は何なのかを探りながら、場の空気を読み、駆け引きをしながら判断していく。短時間で勝負が決まりますが、非常に中身が濃い遊びです」
「ごいた」への敬意とデザインのこだわり
「ポケモンごいた」の制作にあたり、能登ごいた保存会から開発チームへ託された一番の想いは、「長年愛されてきた『ごいた』の魅力をそのまま届けたい」というものでした。
「ごいた」のシンプルながら奥深いルールを、ポケモンの力でいかにわかりやすく表現するのか――。
デザイン面では、機能性を最優先に据えながらも、ポケモンの世界観を違和感なく溶け込ませることを意識しました。
「将棋に似た駒(王・飛・角・金・銀・馬・香・し)が持つ得点の違いを一目で伝えるために『ポケモンごいた』では、ポケモンらしい表現として、点数ごとにモンスターボールの種類や配色を変えたほか、より多くの方になじみのあるポケモンを、それぞれの駒のイメージと組み合わせました」(ポケモン担当者)
駒の背景には元の「ごいた」の駒の名称をさりげなく溶け込ませ、形も伝統的な駒形を踏襲しています。
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「手に取ったときのサイズ・厚み・形状は、試作を30パターンほど重ねました。元の『ごいた』の駒は一辺が数センチ程度と小さいため、これをどのくらいサイズアップするか、子どもの手でも馴染むベストな大きさはどのくらいかを探りました」
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本作を監修した能登ごいた保存会の皆さんからは、「駒のデザインは、ポケモンと『ごいた』の両方を活かしたつくりになっていて、さすがだなと。発祥の地・能登への配慮が感じられる出来栄えでした」と、その仕上がりを評価いただきました。
初心者に寄り添うために凝らした工夫
「ポケモンごいた」は、「ごいた」のルールを変えない方針を貫きつつ、初めて遊ぶ人が迷わないような工夫が随所に施されています。
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付属のプレイマットには基本ルール以外の手役や駒の説明を記載し、4人のどの席からでも同じ情報が見えるよう対角に配置。プレイマットは駒を出す位置など、直感的に理解できる設計を追求しました。
さらに、ルールの習得を後押しするために、スマートフォン用の無料チュートリアルアプリをリリース。チュートリアルと対戦を通じて、ゲームの流れを楽しみながら学べるようにすることで、ボードゲーム版「ポケモンごいた」への入り口を広げています。
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広がる「ごいた」の輪
「ポケモンごいた」の発売は、さまざまな場へポジティブな反響を及ぼしています。
年2回開催される国内最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット」に初出展した際には、ボードゲーム愛好者から、「ポケモンが『ごいた』を?」という驚きの声が上がりました。
「ボードゲーム愛好者の中には『ごいた』をすでに知っていた人も多かったからか、好意的な評価をいただきました」(ポケモン担当者)
また、能登ごいた保存会も、これまでにない広がりを実感しているそうです。
「これまで『ごいた』を知っていたのは、地元の方々とボードゲーム愛好者に限られていました。ところが、『ポケモンごいた』登場後は、ボードゲームに馴染みがない層から学校・学童関係者、ポケモンファンまで、広がりを見せています。さらにはメディアからの取材まで多数舞い込むようになり、うれしい悲鳴を上げています」
能登ごいた保存会は、これまでも各地で月に1~2回ほど「ごいた教室」を開催し、愛好者を広げてきました。最近では「ポケモンごいた」が子どもたちに親しみやすいとして、教室の教材としても活躍しています。
このようなイベントの開催に向けて、ポケモン担当者は「ポケモンごいた」オリジナル法被を制作。遠目からでも「あ、ポケモンだ!」と子どもが見つけてくれるなど、場の盛り上がりに一役買っています。
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伝統的な遊びとポケモンを掛け合わせ、間口を広げた『ポケモンごいた』。シンプルなルールで誰もが味わえる楽しさ、面白さをこれからも伝えていきます。