2026.11.05
能登の思いとともに空へ羽ばたく 「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」

ポケモンができる支援の形
令和6年能登半島地震からの復興を支援し、より多くの方に能登地域を訪れていただくことを目的として、2026年7月7日、ポケモンの名を冠した世界初の空港「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」が開港しました。
「のと里山空港」のリニューアルと愛称変更を主導したのは、石川県および一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー財団です。この財団の原点は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後、社員有志がピカチュウとともに東北を訪れた活動にあります。
そして、2021年に財団として独立し、現在も防災の啓発やこども食堂のサポートなどを行っています。一昨年の能登半島地震でも、いち早く支援に取り組みました。
なぜ空港のリニューアルを行ったのか、財団担当者は次のように話します。「のと里山空港を何度も利用するなかで、東京から飛行機で約50~60分と、その利便性を強く実感しました。能登半島の玄関口としての立地の良さを生かし、より多くの方に利用してもらえるようになればと考えました」
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能登の空港に見い出した震災復興の鍵。そして、「被災地に対してポケモンに何ができるのか」という問いが重なったとき、観光に直結する空港との取り組みという案が浮上したのです。
全国のポケモンファンの関心を被災地に向け、足を運んでもらうことは大きな支援になるのではないか。そんな気付きから、空港のリニューアルプロジェクトがスタートしました。
空港いっぱいに「空への憧れ」を詰め込んで
能登空港には2014年から「のと里山空港」という愛称が導入されていました。これは、もともと地域住民によって選ばれたものです。ポケモンとのコラボレーションであることを示しつつも、これまで現地の方々から親しまれてきた名前も大切にしたい。そこで誕生したのが、「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」という新愛称です。
「能登空港内には吹き抜けが気持ちいい空間があります。これが、装飾の構想を後押ししてくれました」(財団担当者)
吹き抜けには、現時点で確認されている「ひこうタイプ」のポケモン全111種が登場しています。「お気に入りのポケモンをぜひ探してみてください」と、担当者は笑顔で説明してくれました。
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到着ロビーを飾るのは、2024年7月の連携協定締結時に発表された復興応援アート「あかるいみらい」。能登の豊かな自然や輪島市の千枚田を思わせる棚田が描かれた、旅の始まりにふさわしいメインビジュアルです。
オリジナルショート動画『空港サイドストーリー』をスマートフォンで楽しめる仕掛けも用意しました。これは、空港内3カ所にあるオブジェから流れる「なきごえ」をスマートフォンのマイクでキャッチすると、動画が見られるというもの。その中の1本「とべ!タツベイ」は、空に憧れるタツベイのお話です。
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「この動画は、ボーマンダを見上げるタツベイのオブジェとリンクしたストーリーになっています。空港内でしか見られないムービーですので、ぜひお楽しみください」(財団担当者)
ボーマンダを中心に、たくさんのポケモンたちが大空へ飛び立つ姿を描いたオリジナルアート「きぼうのそら」。このアートは、ラッピングバスやオリジナルグッズに活用されています。
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空港を、能登観光の入口に
さまざまな趣向を凝らしながらも、空港リニューアル企画の段階から変わらず根底にあったものは、「空港に来て『楽しかったね』だけで終わってほしくはない」という強い信念でした。
「震災の影響で、人口流出が深刻化しています。観光協会の方たちから『人が減って悲しい』という声を直接聞いていました。能登半島に賑わいを取り戻すために、空港と観光スポットをつなぐ仕組みづくりも進めています」(財団担当者)

県と財団は、空港をハブに観光客が各市町を楽しく回るさまざまな施策を準備しました。空港から外に出てみると、観光スポットを巡る周遊バスや、モニュメントの設置、スタンプラリーなど、能登のあちこちにポケモンたちと会えるスポットが点在しています。


開港後の反響と、届けたい思い
開港からわずか1カ月で、成果は数字にも現れました。空港来場者数は前年同期比約5倍、約9万4000人を突破したのです。
来訪客からは、「想像以上に作り込まれている」という驚きの声が寄せられています。さらに、地域住民からも「話題だから行ってみたら楽しかった」「こんなに活気のある空港を見たことがない」といった好意的な反応がありました。
「能登の皆さまに、ポケモンがどんな形でならお役に立てるのかを真剣に考え続けてきました。一方的な押し付けにならないこと、現地の方が何を求めているのかを大切にすること。それらを一つひとつ積み重ねてきた結果が、このような大きな反響につながったことをうれしく思います」(財団担当者)
主役はあくまで能登半島。「空港をきっかけに能登半島の特色や良さを知ってもらうこと」が、今回のリニューアルでもっとも社会に伝えたいことだったと担当者は振り返ります。
「食べ物はおいしいし、人はやさしい。能登は本当にいい場所です。残念ながら、まだまだ復興が進んでいない場所も残っていますが、だからこそポケモンをきっかけに、より多くの方々に現地へ足を運んでもらえることを期待しています」