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ポケモンと宇宙の謎を解き明かす「ポケモン天文台」

ポケモンと宇宙の謎を解き明かす「ポケモン天文台」 2026.01.23

1. 子どもたちに科学の面白さを伝える

 

科学の魅力を、子どもたちに知ってほしい。そんな信念が、天文学とポケモンの世界を引き合わせました。

 

相模原市立博物館での開催を皮切りに、全国巡回がスタートした特別企画展「ポケモン天文台」。国立天文台と連携し、宇宙の不思議とポケモンの生態を重ね合わせて紹介しています。

 

本企画の始まりは約3年前。「ポケモンで科学に関する展示をしたい」という話が持ち上がったことがきっかけでした。

 

これまで私たちは、「My First Pokémon プロジェクト*」の一環で「ポケモン化石博物館」を開催してきました。 宇宙をテーマにした企画展を通して、子どもたちに科学の面白さを伝えたい 。そんな思いで手を挙げたのは、大学時代に生命科学を専攻していた同プロジェクトのメンバー でした

*My First Pokémon プロジェクト……子どもとポケモンの接点を創出する、株式会社ポケモンの取り組み

 

「『生命の起源は宇宙にある』という説もあるように、宇宙と生命は密接に関わっています。理科離れが叫ばれるなか、ポケモンの介在をきっかけに、子どもたちが科学に興味を持つ入り口を作れるのではないかと考えました」。

 

 

当初は単館での開催も検討されましたが、「多くの子どもたちに届けたい」という考えのもと、巡回展の可能性を模索。「ポケモン化石博物館」に関わった国立科学博物館からの紹介で、日本の天文学の最前線を走る国立天文台とのコラボレーションが実現しました。

 

2. 「多様性」と「探究心」をキーワードに

 

「ポケモン天文台」の開催 に至るまで、プロジェクト開始から約1年半にわたる試行錯誤がありました。 最大の難関だったのが、宇宙とポケモンのかけ合わせ方です

 

当初は、『ポケットモンスター』シリーズに登場する博士が解説をしたり、ゲームのようにストーリー仕立てにしたりする案も浮上しました。しかしどれも、現実世界の宇宙の話を伝えたいのに、仮想世界の話だけに留まってしまう懸念があったのです。

 

現存する宇宙の学びをどう伝えるか。いかにしてポケモンらしさと天文学の面白さを両立させるか。関係者が頭を悩ませた末に、 両者を結びつける糸口として浮かび上がったキーワードが「多様性」と「探究心」でした

 

 

「宇宙には、地球の常識では計り知れない多様な環境が存在します。一方、ポケモンも今や1000種類以上が発見されており、それぞれの生態があります。宇宙もポケモンも、多様性を持つという点で共通していると思いました」

 

また「未知なるものを知りたい」という探究心は、宇宙の謎に思いを馳せて空を見上げることにも、まだ見ぬポケモンを探すことにもつながります。 この2つの共通点を軸に「宇宙の謎を、ポケモンの生態と照らし合わせて解き明かす」というコンセプトが固まりました

 

3. 専門家と見つける宇宙とポケモンの共通項

 

展示内容については、国立天文台の研究者とポケモン担当者が、まるで連想ゲームをしていくかのように議論を深めていきました。

 

その一つが、星の一生についての展示です。天文学では、ガスが集まって星が生まれ、変化していく過程を「恒星の進化」と呼びます。同じものの姿が変わっていくという点で、ポケモンと星の「進化」は似ていると考えました。

 

この「恒星の進化」を説明するために抜擢されたのが、「せいうんポケモン」のコスモッグです。ガス状の体を持つコスモッグが、硬いからに包まれているコスモウム、そして光を放つソルガレオや光を吸収するルナアーラへと姿を変えていく。その様子は、まさに星の一生と重なります。

 

△せいうんポケモンのコスモッグ

 

また、天文学とポケモンの意外な組み合わせが、木星とサマヨールの展示です。木星には、縞模様や大赤斑に加え、中身が気体であるガス惑星という特徴があります。

 

「木星の特徴をうまく表現できるポケモンは、私たちでもすぐには思い浮かばず、ポケモン図鑑をめくりながら必死に探しました。そして、ようやくたどり着いたのがゴーストタイプのサマヨールです。赤い一つ目があり、体は縞模様の包帯、おまけに中身も空洞。見つけた瞬間、思わず『これだ!』と盛り上がりました」

 

サマヨールと並べることで、木星の特徴である縞模様や大赤斑に改めて気づかされます。このように、 単に文字の解説を読むだけでは見落としがちなポイントも、ポケモンの生態と照らし合わせると記憶に残りやすくなる。そんな展示に仕上げました。

 

4. 仮想世界を通して、現実の科学を学んでほしい

 

会場では、子どもたちが熱心に展示を読み込む姿が見られました。その手に持つのは、来場者に配布されるクイズシートです。

ただ展示を眺めるだけでなく、能動的に学んでもらうにはどうすればよいか。そこで今回は、来場者全員にクイズシートを配布しました。クイズに全問正解すると、ポケモン天文台の研究員として認定する「特任研究員認定証」がもらえる仕組みも用意しています。

 

 

これが、 難しい解説文を読み解くモチベーションになったのだそうです。多くの保護者から、「クイズのおかげで子どもが夢中になって見ていました」「解説をあんなに真剣に読む姿は初めて見ました」といった声が寄せられました。

 

 

また、子どもたちだけでなく、かつてポケモンのゲームを遊んでいた大人のファンからも「ポケモンの細かな設定まで反映されているのがうれしい」といった感想が届いています。

 

空想の楽しさが、いつしか現実への興味に変わっていく。そんなきっかけを提供できるよう、私たちはこれからも子どもたちの好奇心を育む場をつくり続けていきます。
 

 

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